第96回箱根駅伝は7区間で新記録が誕生する"史上最速"のレースに 相澤ら有力ランナーは東京五輪を見据える

学生最強ランナー、東洋大の相澤晃が「不滅の大記録」でMVPに
2020年の箱根駅伝は多くの記録が生まれた高速レースだった
2020年の箱根駅伝は多くの記録が生まれた高速レースだった2020年の箱根駅伝は多くの記録が生まれた高速レースだった

第96回箱根駅伝が2020年の1月2日、3日に行われ、青山学院大学が大会記録を6分46秒も更新し、2年ぶり5度目の優勝を果たした。今大会は7区間で新記録が誕生するなど、ハイレベルな高速レースが展開された。MVPには「花の2区」の記録を11年ぶりに更新した東洋大学の相澤晃が輝いた。

往路では4大学が大会新記録を更新する歴史的レースに

令和最初の箱根駅伝は、かつてないほどハイレベルな高速レースとなった。

往路では、1区で創価大学の米満玲(よねみつ・れん)が歴代2位タイの好タイムで区間賞を獲得すると、2区以降は区間新記録が連発した。2区では東洋大学の相澤晃、3区では東京国際大学のイエゴン・ヴィンセント、4区では青山学院大の吉田祐也、5区では東洋大の宮下隼人がそれぞれ区間新記録をマーク。5時間21分16秒で芦ノ湖にトップでたどり着いた青山学院大学を筆頭に、2位の國學院大學、3位の東京国際大、4位の東海大学までの4チームが往路新記録をたたき出した。

高速レースは復路に入っても続いた。4位からの巻き返しを狙った東海大の主将、館澤亨次(たてざわ・りょうじ)が山下りの6区で区間新の激走を見せると、7区では明治大学のエース阿部弘輝が持ち味のスピードを発揮し、区間新を打ち立てた。最終10区では、創価大2年生の嶋津雄大がシード圏内に食い込む力走で13年ぶりに区間記録を更新。終わってみれば7区間で13個の区間新記録が誕生し、総合では優勝した青山学院大が10時間45分23秒、2位の東海大が10時間48分25秒という新記録を樹立と、記録づくめの大会となった。

数々の番狂わせも今大会を盛り上げた。大会前、優勝候補に挙げられていた東洋大が振るわず、往路11位、総合10位で来年のシード権をぎりぎりで確保と冷や汗をかいた。一方で、予選会を経て出場を果たしたチームの躍進が目立った。過去最高順位が15位だった東京国際大が総合5位と大健闘し、初めてシード権を獲得。古豪の明治大は総合6位に食い込み、2015年以来5年ぶりにシード権を手にした。10区で11位から9位に浮上した創価大も同校初のシード権をつかみ取っている。

青山学院大が安定の走りで王座を奪還した
青山学院大が安定の走りで王座を奪還した青山学院大が安定の走りで王座を奪還した

青山学院大が「やっぱり大作戦」で4区以降は首位を譲らず

青山学院大は2年ぶり5度目の総合優勝に輝いた。2019年の主力メンバーが卒業し、今シーズンは出雲駅伝で5位、全日本大学駅伝で2位とタイトルに手が届かず、無冠も覚悟して臨んだ箱根路だった。

区間賞を獲得したのは4区の吉田祐也と9区の神林勇太(かんばやし・ゆうた)の2人のみ。しかし、全区間安定の走りでたすきをつなぎ、4区以降は一度も首位を譲らず、栄冠をつかみ取った。「やっぱり大作戦」と銘打ち、「やっぱり青学は強かった、と言われたい」と選手たちを鼓舞し続けた原晋(はら・すすむ)監督は、期待以上の奮闘を見せた選手たちを称えた。

大会MVPにあたる金栗四三杯は、東洋大の主将を務める相澤晃が受賞した。相澤は各チームのエースがそろう「花の2区」で、出遅れた1区の西山和弥から14位でたすきを受けると、驚異的なペースで快走した。7人を抜いて区間賞を獲得するとともに、「不滅の大記録」と言われた2009年のメクボ・ジョブ・モグス(山梨学院大)の記録を7秒上回り、11年ぶりに区間新記録を樹立。前人未到の1時間5分台をたたき出す韋駄天ぶりが高く評価された。

3区では、東京国際大のイエゴン・ヴィンセントが大番狂わせの立役者となった。ケニア人留学生は、187センチの長身を生かしたスライドで、従来の区間記録を2分1秒も塗り替える59分25秒で駆け抜けた。ハーフマラソンに換算すれば世界歴代5位前後にあたる圧巻のペースで、チーム史上最高の往路3位を手繰り寄せている。

相澤、館澤、阿部らがトラック競技で東京五輪をめざす

東洋大の相澤はレース後、すぐさま3月の東京マラソンへの出場について言及した。2019年夏のユニバーシアードではハーフマラソンで金メダルを獲得しており、その実力が世界レベルでも通用することは証明済み。卒業後は実業団の旭化成に入り、東京五輪はトラック競技での出場をめざすという。「学生最強ランナー」の今後に期待は高まるばかりだ。

東京国際大の伊藤達彦は、相澤とともに参加したユニバーシアードのハーフマラソン銅メダリスト。2区で20キロ過ぎまで相澤と並走し、区間2位、歴代3位タイのタイムを記録した。メダリスト同士によるハイレベルな駆け引きは今大会における大きなハイライトとなり、伊藤は「一番戦いたかった相手。本当に楽しかった」と振り返った。伊藤は卒業後、男子マラソン元日本記録保持者の設楽悠太がいるHonda陸上部に入団する予定で、相澤との再戦を心待ちにしている。

また、山下りで区間新記録というインパクトを残した東海大の館澤亨次は、DeNAに入社予定で、卒業後は同社のランニングクラブの一員として1500メートルを主戦場にすることを表明している。7区を区間新で走り抜けた明治大の阿部弘輝は住友電工に進み、1万メートルでの東京五輪出場を目標に掲げている。箱根路を全力で駆け抜けた男たちの物語は、世界へと続いていく。

第96回箱根駅伝の総合順位

優勝 青山学院大学…10時間45分23秒
2位 東海大学………10時間48分25秒
3位 國學院大學……10時間54分20秒
4位 帝京大学………10時間54分23秒
5位 東京国際大学…10時間54分27秒
6位 明治大学………10時間54分46秒
7位 早稲田大学……10時間57分43秒
8位 駒澤大学………10時間57分44秒
9位 創価大学………10時間58分17秒
10位 東洋大学………10時間59分11秒

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11位 中央学院大学…11時間01分10秒
12位 中央大学………11時間03分39秒
13位 拓殖大学………11時間04分28秒
14位 順天堂大学……11時間06分45秒
15位 法政大学………11時間07分23秒
16位 神奈川大学……11時間07分26秒
17位 日本体育大学…11時間10分32秒
18位 日本大学………11時間10分37秒
19位 国士舘大学……11時間13分33秒
20位 筑波大学………11時間16分13秒

学生連合 11時間12分34秒※参考記録

※10位までがシード権獲得で予選なしで次回大会に出場

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