箱根駅伝プレビュー:東海大の連覇か、青山学院大が奪還か…東京五輪イヤーの2020年は5強がひしめき激戦必至

東京五輪代表候補の相澤晃は「花の2区」で区間賞を狙う

96回目を迎える箱根駅伝が2020年1月2日、3日に行われる。2019年、初の総合優勝を成し遂げた東海大学が連覇を果たすか。2年ぶりの奪還を狙う青山学院大学や往路2連覇中の東洋大学のほか、駒澤大学、國學院大学なども有力選手をそろえ、優勝争いは混戦模様となりそうだ。

東海大はキャプテンの館澤亨次(写真)が故障の影響のため補欠登録だが、「黄金世代」と称される実力派の4年生を中心に連覇を狙う
東海大はキャプテンの館澤亨次(写真)が故障の影響のため補欠登録だが、「黄金世代」と称される実力派の4年生を中心に連覇を狙う東海大はキャプテンの館澤亨次(写真)が故障の影響のため補欠登録だが、「黄金世代」と称される実力派の4年生を中心に連覇を狙う

正月の風物詩で、東海大が大会2連覇を狙う

箱根駅伝は、東京・読売新聞社前から箱根・芦ノ湖間を、107.5キロメートルの往路5区間と109.6キロメートルの復路5区間の合計10区間で競う学生長距離界最長の駅伝競走だ。

毎年1月2日、3日に開催されることから、正月の風物詩として定着している。2019年9月に行われたマラソングランドチャンピオンシップで東京五輪出場権を獲得した中村匠吾(駒澤大卒)と服部勇馬(東洋大卒)もかつては箱根駅伝で活躍し、その名を全国区に知らしめた。

2019年に行われた第95回大会では、東海大学が初の総合優勝を果たした。往路優勝の東洋大から1分14秒遅れで復路をスタートした東海大は、8区の小松陽平が区間新記録の走りを見せてトップに躍り出た。すると、5連覇を狙った青山学院大学や東洋大学の猛追をかわし、10時間52分9秒の大会新記録をマークして史上17校目の優勝校となった。

東海大は今大会でも、優勝候補の筆頭に挙げられている。2018年のアジア競技大会の1500メートル日本代表で、同校キャプテンを務める館澤亨次(たてざわ・りょうじ)をはじめ、鬼塚翔太、阪口竜平、小松といった2019年の優勝を経験したメンバーがそろって最終学年として最後の箱根駅伝に挑む。2019年11月の全日本大学駅伝では、主力の4年生4人をけがで欠きながら16年ぶり2度目の優勝を果たし、選手層の厚さを見せつけた。「黄金世代」の集大成となる箱根駅伝では、往路、復路を制しての完全優勝を狙う。

箱根駅伝経由でオリンピックに出場する選手も多い。東京五輪のマラソン出場権を得た中村匠吾も駒澤大時代にこの駅伝で存在感を見せつけている
箱根駅伝経由でオリンピックに出場する選手も多い。東京五輪のマラソン出場権を得た中村匠吾も駒澤大時代にこの駅伝で存在感を見せつけている箱根駅伝経由でオリンピックに出場する選手も多い。東京五輪のマラソン出場権を得た中村匠吾も駒澤大時代にこの駅伝で存在感を見せつけている

5強がひしめく戦国時代、青山学院大は王座奪還なるか

東海大の連覇か、それとも他大学が阻止するのか。今シーズンの大学駅伝は“5強”がひしめく混戦模様となっている。5強とは、前述した東海大のほか、青山学院大、東洋大、駒澤大学、國學院大學を指す。

第91回での初優勝から4連覇を果たした青山学院大は前回大会、2区と5区での失速が響き、終盤の猛追も実らず2位に終わった。2年ぶりの王座奪還をめざす今シーズンは、昨シーズンまでの主力選手が卒業したことにより、春先はトラック種目でも結果が出ず、「過去最弱世代」とまで呼ばれた。

発表された登録メンバーのうち4年生は4人だけで、そのうち箱根駅伝を経験しているのは主将の鈴木塁人(たかと)のみ。経験値が不安視されるが、出雲駅伝では5位、全日本大学駅伝では1位の東海大とわずか1分44秒の差で2位と、徐々に調子を上げてきている。「箱根の勝ち方」を知る原晋(はら・すすむ)監督は恒例の作戦名を「やっぱり大作戦」と決め、「終わってみればやっぱり青学は強かったと思ってもらえる走りをしたい」と、自信をのぞかせている。

東洋大は11年連続で総合3位以内と安定した成績を残しているが、直近の2大会は往路優勝を飾りながら、復路で失速して逆転を許し、苦杯をなめてきた。2019年は4区から7区までを1位で走りながら、ゴールテープを切ったのは東海大、青山学院大に次ぐ3位。6年ぶりの総合優勝へ、闘志を燃やしている。

過去6度の総合優勝を誇る「平成の王者」駒澤大は2018年、12位でシード落ちを経験したが、2019年は4位、2019年は出雲駅伝で2位、全日本大学駅伝で3位と復調傾向にある。総合優勝を果たせば12年ぶり。東京五輪代表切符を獲得した同校OB中村の勇姿に刺激を受けた後輩たちが常勝軍団復活をめざす。

2019年の出雲駅伝で3大駅伝初優勝を成し遂げた國學院大は、前回5区の山上りで区間賞の走りを見せた浦野雄平に注目が集まる。選手層の薄さが課題ではあるものの、今大会も5区に配置されたエース浦野が力走を見せれば、往路優勝も射程圏内に入ってくる。

東海大の小松陽平は2019年3月、世界クロスカントリー選手権(デンマーク)日本代表に選出。前回大会で区間記録を塗り替えた8区を走る予定だ
東海大の小松陽平は2019年3月、世界クロスカントリー選手権(デンマーク)日本代表に選出。前回大会で区間記録を塗り替えた8区を走る予定だ東海大の小松陽平は2019年3月、世界クロスカントリー選手権(デンマーク)日本代表に選出。前回大会で区間記録を塗り替えた8区を走る予定だ

東京五輪代表候補の相澤晃が挑む最後の箱根路

選手個人で見ると、大きな注目を集めるのは「学生最強ランナー」の呼び声も高い東洋大の相澤晃だろう。

相澤は2019年の夏にナポリで行われたユニバーシアード大会のハーフマラソンで優勝し、東京五輪では1万メートルでの出場が期待されている。箱根駅伝では2年次に2区を走って区間3位、2019年は4区で区間記録を1分27秒も縮める新記録を出し、同校の往路優勝に貢献した。最後の箱根駅伝となる今大会はキャプテンを務め、「エース区間」と称される2区での区間賞を狙っている。

5強の一つ、駒澤大にはスーパールーキーの田澤廉(たざわ・れん)がいる。

青森県出身の田澤は青森山田高等学校時代、全国高校駅伝に3年連続出場。3年次にはアジアジュニア陸上競技選手権大会の5000メートルで銀メダルに輝いた。駒澤大に入学後は、出雲駅伝で3区を走って区間2位。全日本大学駅伝では7区で青山学院大のエース吉田圭太を抑えて区間賞を獲得し、規格外ぶりを発揮した。新星にしてチームの核を担う田澤は2019年12月29日に発表された区間エントリーでは補欠登録。往路も復路もレーススタートの70分前まで登録変更が可能のため、駒澤大は他校の動きを見ながら田澤の起用区間を決める方針だ。「花の2区」を任される展開も十分にあるだろう。

学生最強ランナー・相沢晃は“花の2区”復帰で区間賞を狙う
学生最強ランナー・相沢晃は“花の2区”復帰で区間賞を狙う学生最強ランナー・相沢晃は“花の2区”復帰で区間賞を狙う

例年どおり、「花の2区」は激戦区となりそうだ。東洋大の相澤に加え、東海大は前々大会に1年生ながら同区で区間5位の力走を見せた塩澤稀夕(きせき)、青山学院大は原監督が「歴代で一番」とお墨付きを与える1年生の岸本大紀(ひろのり)、駒澤大は2年連続で同区間を任されている山下一貴(いちたか)、國學院大は2019年の関東学生対校選手権でハーフマラソン男子2部を制した土方英和(ひじかた・ひでかず)と、いずれ劣らぬ選手たちが走る予定だ。

「花の2区」を含め、大学生ランナーたちが熱い気持ちとともにたすきをつなぐ箱根駅伝は、今大会もさまざまなドラマを生む。

10月の予選会では筑波大が26年ぶりの出場権をつかみ話題に/時事
10月の予選会では筑波大が26年ぶりの出場権をつかみ話題に/時事10月の予選会では筑波大が26年ぶりの出場権をつかみ話題に/時事

楽しめましたか?お友達にシェアしよう!