記録ずくめの女子柔道、東京オリンピックでお家芸にかかる期待

リオ五輪 柔道女子70kg級で金メダルを獲得した田知本遥選手
リオ五輪 柔道女子70kg級で金メダルを獲得した田知本遥選手リオ五輪 柔道女子70kg級で金メダルを獲得した田知本遥選手

技術力を磨いてさらに躍進!

2016年リオ五輪では金3個を含む史上最多12個のメダルを獲得した日本柔道チーム。男子が井上康生新監督の元、7階級すべてでメダルを獲得する快挙を達成したが、女子も2013年1月に就任した南條充寿前監督の牽引により、金1個を含む5階級でメダルを獲得し、東京五輪に向けて大きく弾みをつけた。

南條前監督は選手に自立性を求める指導で結果を残してきたが、2016年の9月に任期満了に伴い退任。「今後も日本人は技術力で勝負するべきだ」とのメッセージを残して代表チームを去った。その後、東京五輪を見据えて、次期監督に増地克之氏が就任。その路線を継承しながら、メダル獲得数を増やすのかどうかに注目が集まっている。

階級と体重差の規則

女子の階級は、48キロ級(超軽量級)、52キロ級(軽軽量級)、57キロ級(軽量級)、63キロ級(軽中量級)、70キロ級(中量級)、78キロ級(軽重量級)、78キロ超級(重量級)に分かれ、それぞれトーナメント方式で争われる。

女子の柔道が初めて正式な競技種目となった1992年のバルセロナ五輪、1996年のアトランタ五輪では、超軽量級(48キロ以下)、軽軽量級(52キロ以下)は現在と同じだが、軽量級(56キロ以下)、軽中量級(61キロ以下)、中量級(66キロ以下)、軽重量級(72キロ以下)、重量級(72キロ超)となっていた。男子に限らず、女子も選手の体格が大きくなってきていることから、同じ階級でも体重制限の上限が増えてきている。

階級の体重差はいわゆる階差数列。隣り合った数字の差が1つずつ増えていく。まず最軽量級の48キロに「4」を足して52キロ。次に52キロに「5」を足して57キロ。次は「6」を足して63キロ、「7」を足して70キロ……という具合だ。

田知本遥選手
田知本遥選手田知本遥選手

記録ずくめの女子柔道

柔道女子は、金メダル11個、銀メダル9個、銅メダル12個の計32個(男子は金28個、銀10個、銅14個の計52個、男女では計84個)。男子同様、「一本を取りに行く柔道」を目指しており、谷本歩実選手が2004年アテネ五輪と、2008年北京五輪の2大会連続で全試合一本勝ちを達成している。また、アテネ五輪では、塚田真希選手が同様に、全試合一本勝ちを成し遂げた。

女子は世界的な記録が特に多い。個人で金メダルを2回獲得した女子選手は、世界で5人しかいないが、そのうちの3人が日本人選手だ。

2000年シドニー五輪、2004年アテネ五輪で谷亮子選手、2004アテネ五輪、2008年北京五輪で谷本歩実と上野雅恵の両選手が達成した。また、1992~2008年五輪で谷亮子選手は、世界最多の5個(金2、銀2、銅1)を5大会連続で獲得している。さらに五輪初出場となった1992年バルセロナ五輪で、銀メダルを獲得したとき、谷選手は世界最年少(16歳331日)だった。

谷亮子選手
谷亮子選手谷亮子選手
  • 柔道:シドニー2000女子48kg級決勝

    柔道:シドニー2000女子48kg級決勝

  • 柔道:アテネ2004女子48kg級決勝

    柔道:アテネ2004女子48kg級決勝

記憶に残る選手もやはり谷選手がダントツだろう。中学生のときに大学生を背負い投げしたり、世界選手権で活躍したりしているうちに、柔道マンガの主人公になぞらえて「ヤワラちゃん」と呼ばれるようになり、女子柔道に一大ブームが沸き起こる。

期待されながらも銀メダルで終わったアトランタ五輪の悔しさをバネに、過酷な練習を重ね、「最高で金、最低でも金」の言葉とともに、シドニー五輪に臨み、見事に有言実行。結婚後のアテネ五輪では「田村でも金、谷でも金」と言って再び有言実行、その活躍は多く柔道ファンを沸かせた。

また、出産前に「田村でも金、谷でも金、ママになっても金」との言葉を残している。2018年には、女子選手としては極めて異例の飛び昇段で6段になり、大きな注目を集めた。

阿部兄妹でダブル金なるか

今回、最も注目したい選手は2018年バクー世界柔道選手権大会に初出場し、大会初優勝を成し遂げた52キロ級の阿部詩(うた)選手だ。兵庫県出身、2018年10月29日現在、夙川学院高校3年の18歳。阿部選手が属する女子52kg級は、過去の五輪で金メダルを獲得したことがない階級だけに、初めて金メダルを獲得するのは彼女かもしれないと、大きな期待が寄せられている。

阿部詩選手と阿部一二三選手
阿部詩選手と阿部一二三選手阿部詩選手と阿部一二三選手

阿部詩選手は2017年2月の柔道グランプリ・デュッセルドルフ52kg級で史上最年少となる16歳225日で優勝。続く同年11月の講道館杯全日本柔道体重別選手権大会では、国内のシニア大会での初優勝を飾り、12月の柔道グランドスラム東京2017でも、世界の強豪を相手に、初出場で初優勝を勝ち取った。66キロ級の阿部一二三選手(日本体育大学)は3歳上の兄だ。5歳のときに兄が練習に打ち込む姿を見て、「楽しそう」と自身も始めた。兄と同様「一本を取りに行く柔道」がスタイルだ。史上初となる兄妹そろっての東京五輪出場を決めて、同時に兄妹そろってのメダル獲得という快挙となるか。

このほか、同じ高校3年生で18歳、78キロ超級の素根輝(そね・あきら)も、注目のオリンピック候補だ。出場を決めれば初となる。また、2016年リオ五輪金メダリスト48kg級の近藤亜美を始め、世界柔道選手権で結果を残した78キロ級の濱田尚里、70キロ級の大野陽子と新井千鶴、63キロ級の田代未来、78キロ超級の朝比奈沙羅、48キロ級の渡名喜風南、52キロ級の志々目愛、52キロ級の角田夏実、57キロ級の芳田司など、各選手も注目だ。

柔道:リオ2016女子70kg級決勝

柔道:リオ2016女子70kg級決勝

楽しめましたか?お友達にシェアしよう!