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記録破りのソフィア・アカチエワ:「私は勇気があって、野心的で、そして優しい人間です」

文: Ekaterina Kuznetsova/訳:角谷剛 ·

このロシアの少女は1プログラム内で2本の4回転ジャンプと3回転アクセルに成功した初の女性となった。ソフィア・アカチエワがオリンピック・チャンネルに語った独占インタビューを紹介する。

ソフィア・アカチエワはロシアのフィギュアスケート界に現れた新たなスターだ。1プログラム内で2本の4回転ジャンプと3回転アクセルに成功した初の女性スケーターとなり、突如としてスポットライトを浴びることになった。

アカチエワがこの偉業を達成したのはカザンで行われたロシアスケート選手権ジュニア女子部門での演技だ。同大会シニア部門に出場したヨーロッパ・チャンピオンのアリョーナ・コストルナヤを上回るスコアを獲得した。アカチエワは3回転アクセルに加えて、2本の4回転トウループ(1本は連続技)を成功させた。

この歴史的偉業を達成した数日後、アカチエワはオリンピック・チャンネルとの独占インタビューに応え、率直に「私は4回転ジャンプが大好きです」と語った。エテリ・トゥトベリーゼに師事するこの13歳の少女は、2023/24年シーズンまでは国際シニア競技に出場する資格を得られない。だが彼女は既に大きな未来を見据えている。

ロシアスケート選手権シリーズの大会はあと1回モスクワで行われる。そこにはジュニア部門とシニア部門の両方でロシアの全国大会への切符を争うためにトップ選手たちが集まってくる。

以下のインタビューはロシア語から翻訳され(英語からさらに日本語へ)、また意味を明確にするためと長さを調整するために編集されている。

歴史を作った人間として

オリンピック・チャンネル(以下OC): ソフィア, あなたは歴史を作りました。あらためてあなた自身の言葉でカザンでのロシアスケート選手権について話してくれますか?

ソフィア・アカチエワ(以下SA): 昨日のフリー・プログラムでは私は前半では上手く滑ることができましたが、後半はひどい失敗をしました。練習が足りなかったからだと思います。それは間違いありません。次の競技会では後半部分をもっと練習します。今度は上手く滑れたらいいのですけど。

OC: それは随分と手厳しい自己評価ですね。あなたは1プログラム内で3回転アクセルと複数の4回転ジャンプに成功した史上初の女性なのですよ。

SA: ですが、実際のところ、私は競技に出場する直前までそのことを考えてもいなかったのです。歴史を作るという目標は私の脳裏にはありませんでした。もちろん、子供の頃から、何かを最初に成し遂げてみたいとは思っていました。ですけど、この大会に出るときには、そのことは考えませんでした。私はただ練習でやってきたことを出すことしか考えていませんでした。

OC: 1プログラム内で3回転アクセルと複数の4回転ジャンプに挑むことは誰のアイデアだったのですか?

SA: それは私とコーチたちのアイデアでした。私自身は、今シーズンの初めから3回転アクセルがとても安定してきていましたので、そう決めました。私がコーチたちに相談したら、コーチたちは「いいじゃない」と言ってくれたので、プログラムに入れることにしたのです。

OC: 1プログラム内で3回転アクセルと複数の4回転ジャンプに成功する自信はどれだけありましたか?

SA: 最近ここ数週間の練習ではうまくプログラムを滑ることができていました。だから、プログラム前半にはかなり自信がありました。後半よりもっと自信がありました。公式練習ではすべてがとても上手くいきましたので、この大会への準備は万端だと思いました。私はどんなことでも練習でまず試します。大会中に突然できるようになったわけではありません。何回も何回も試行を繰り返しました。あのような難しいジャンプを跳ぶときは、勇敢でなくてはなりませんし、自分自身と戦うことが求められます。最初に試すときは、いつも恐いです。

OC: あなたの名前はあらゆるニュースの見出しになりました。「ソフィア・アカチエワが歴史を作った」と。翌朝起きたら有名人になっていた気分ですか?

SA: そんな風には感じません。なぜなら私は自分のスケーティングを完璧にするためにもっと努力しなくてはいけないことを知っているからです。色々なことが上手くいったことは嬉しく思います。ですけど、朝起きたら有名人になっていたなんてことはありません。

OC: どんなジャンプが好みですか?

SA: 私は4回転ジャンプが大好きです。お気に入りのジャンプはたぶんトウループとアクセルです。なぜなら、それらはもっとも難しいジャンプだからです。プログラムに入れる技はすべて、自分のお気に入りにしなくてはいけません。もしプログラム内に嫌いなものがあれば、それは上手くいかないでしょう。

OC: もっとも難しいジャンプがお気に入りだということは、あなたは困難や挑戦が好きなのですね?

SA: もちろんです。なぜだか分かりませんが、自分自身に打ち勝とうとする気持ちはすぐに火がつきます。目標を決めて、それに到達したとき、そのときに感じる気持ちがとても好きなのです。だからこそ、私は難しいことに挑むのが好きなのです。

OC: あなたのジャンプはよくアレクサンドラ・トゥルソワと比較されます。そのことについてはどう感じていますか?

SA: 4回転ジャンプに挑むアプローチは人によって異なります。ですから、私はあまりそれを気にかけたことはありません。私は自分のやり方で練習します。サーシャ(トゥルソワ)は彼女の練習をします。このジャンプを練習し始めた頃は、彼女を見習いました。アンナ・シェルバコワも4回転ジャンプを跳びます。私は彼女たちを見て、そして憧れました。私はいつも難しいジャンプに挑みたいと思っていたのです。

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アカチエワが語る彼女自身とフィギュアスケート

OC: あなたはどんな人間だと思いますか?

SA: 私は自分が勇気があって、野心的で、そして優しい人間だと思います。

OC: あなたの短所はどんなところですか?

SA: 練習の時に感情を抑えて自分自身を持ちこたえることを学ばないといけないと思います。

OC: フィギュアスケートの周囲にはネガティブな側面があります。それに対してはどのように対応していますか? 強い気持ちを保つのは難しくはありませんか?

SA: 私はあまりそういう記事を読みません。私には自由な時間があまりないのです。自分の時間のほとんどは勉強をしています。すべてのテストに受からなくてはいけませんから。学校では新しい教科が始まりましたし、それもあってとても忙しいのです。ですから、ネガティブな話の記事を読むこともありません。

OC: あなたは以前に読書が好きだと言いました。あなたが好きで感銘を受けた本にはどんなものがありますか?

SA: 「縞模様のパジャマの少年(The Boy in the Striped Pajamas)」と言う本が好きでした。検疫期間中は'Silver skates'と'The Dawns here are quite'という本も読みました。それらを合宿所で読んだのです。私は歴史と戦争に関する本が好きです。本を読んでいるとわくわくします。

OC: あなたは13歳ですでに偉業を成し遂げました。将来にどのような目標を持っていますか?

SA: 今シーズンは自分のプログラムを上手く滑って、自分が思った通りのスケートをすることが目標です。人生においては、やはりオリンピックで金メダルを取ることですね。

OC: 残念ながら、あなたは2022年北京オリンピックには年齢制限のせいで出場できませんね。

SA: 北京オリンピックに出れないことは、私はそれほど気にしていません。それだけ2026年の(ミラノ/コルティナ・ダンペッツォ)オリンピックまで準備をする時間を長く取れるということですから。

OC: 2026年のミラノ/コルティナでの冬季オリンピックだと、あなたはそのとき20歳になります。フィギュアスケートではやや高年齢になってしまいますね。

SA: 頑張って、自分のベストな体型とジャンプを保つようにします。技術をなくさないように、そして上達するだけです。

OC: 現在のフィギュアスケート界はとても競争が激しいですね。どのように対応しますか?

SA: 私はどんな大会でも競い合うのが好きです。あの雰囲気は特別です。私は競争相手がいることも好きなのです。誰かが私を感心させるようなジャンプをしたら、私だって負けていないってことを見せたいのです。

OC: あなたにとってより重要なのは芸術面ですか、それとも技術ですか?

SA: どちらも重要です。なぜならフィギュアスケートは今でも芸術ですし、それは技術とスケーティングに調和しなくてはいけないからです。私はプログラムに私の魂を込めようとします。滑っているときは観客と審判たちとコミュニケーションを取ろうともします。私は自分が演じるキャラクターを理解して、それを氷の上で表現しようとします。

OC: あなたは氷の上でシニア部門のスケーターたちに劣らないパフォーマンスを見せています。シニア部門で競技したいと思いますか?

SA: 私にはまだ練習しなくてはいけないことがたくさんあります。転倒や失敗をなくして、自分のプログラムを完璧に滑るためにです。シニア部門で競技することには興味は確かにありますが、そのためにはもっと長い期間のハードな練習が必要になるでしょうね。私はまだジュニア部門に残るべきだと思います(笑)。

OC: トゥルソワは男子と競技してみたいと発言したことがあります。そのアイデアについてはどう思いますか?

SA: 正直に言えば、私は男子と競技したいとは思いません。なぜかと答えることは上手くできないのですが。私は美しいスケートをしたいと思います。難しい技術を見せるだけではなく。女子のフィギュアスケートは男子のそれとは違うものだと私には思えます。だから男子と競争したくありません。

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エテリ・トゥトベリーゼとの練習

OC: あなたは以前2010年バンクーバーオリンピックを見てオリンピックに憧れたと言いました。しかし、その頃あなたはまだ3歳だったはずです。それについてもう少し話していただけますか?

SA: 私の家族でテレビ中継を視ていました。母が私に「ごらん。あんなにきれいなドレスを着て、滑って、そしてジャンプをするのよ」って教えてくれたのです。私はとても興味を持ちました。その年の新年休みにはもうスケート靴を買ってもらって、皆で試しに行きました。

OC: エテリ・トゥトベリーゼとの練習はどんな感じですか?

SA: 私が移籍したのは2017年のことです。場所は同じリンクでしたので、それほど物事が大きく変わったわけではありません。もちろん、そこにいるアスリートたちのトレーニング振りには驚きました。彼らはみながとても強い信念をもって、自分の責任をもってスケートをしています。練習では全員が自分の目標を持って、そしてすべてを素早く行います。新しいことを学ぶときでさえです。私はとても刺激を受けました。

エテリ・トゥトベリーゼはどのアスリートにも少しずつ彼女の魂を伝えます。どのアスリートとも彼女は良い関係を築いています。それに私は彼女の練習方法が好きです。彼女は毎日リンクに来て、何かを他人に任せることはありません。彼女はすべてを掌握していますし、小さな失敗も見逃しません。そして、そのような小さな弱点を克服していった人たちだけがチャンピオンになるのです。

OC: あなたに感銘を与えたスケーターは誰ですか?

SA: 私の練習グループ内ではアリーナ・ザギトワとアンナ・シェルバコワです。彼女たちが出した結果を見て、私も頑張ろうと思いました。彼女たちのスケーティングはとても素晴らしいです。アンナ(シェルバコワ)はとても難しいジャンプもこなします。それを見るとすごくやる気が出ます。

OC: あなたはとてもフレンドリーな女の子のように見えます。ですが、スポーツの世界で勝利するためには貪欲さが必要です。あなたはどうやってそれを身につけますか?

SA: そうですね、私生活では良い人間でいたいと思います。大会の場では、私は自分の目標に向かって集中するので、他の人には注意を払いません。私は練習で繰り返したことを試合場でも出したいと思っています。それしか私は考えません。

OC: フィギュアスケートを通じてあなたが得たもっとも大切な教訓は何ですか?

SA: まず最初に、フィギュアスケートは私に努力することの大切さと精神力の強さを教えてくれました。目標を決めて、そこに辿り着いたときに。

OC: あなたのコーチであるトゥトベリーゼが教えてくれたもっとも大切なことは何ですか?

SA: 彼女は私に今頑張れば大会ではもっと楽にできるようになるということを教えてくれました。大会の場で私はいつもより冷静でいられるのは、すべては以前に練習で上手くいったことだからです。エテリ・トゥトベリーゼが私にくれたアドバイスは、練習では目標を決めることと感情に流されないことです。そうすれば、何にも惑わされなくなります。

原文:Record-breaker Sofya Akatyeva: "I am courageous, ambitious and kind."