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錦織圭は2020年を復活の年にできるか 東京五輪への出場は…

文: 神仁司 ·
右ひじの怪我からの復活を目指す錦織圭(中央)

3月のデビスカップ予選は出場回避 錦織圭の怪我の状態は

長年エースとして、日本テニスを牽引してきた錦織圭が、2016年9月以来3年半ぶりとなる日本代表への復帰を果たした。

トップ10選手として活躍していた錦織は、ワールドプロテニスツアーでの個人戦と、男子テニス国別対抗戦・デビスカップでの団体戦との両立を、厳しいスケジュールの中で実現するのが、体力的にもメンタル的にも困難となり、代表チームへの合流を辞退してきた。

加えて、昨年10月22日に右ひじの内視鏡手術をしたため戦列を離れ、日本でリハビリに励んでいた。そのため世界ランキングはトップ10から陥落し、ATPランキング31位(3月2日付け)まで落ちていた。

デビスカップの予選ラウンド「日本 vs. エクアドル」(3/6~3/7)を、復帰戦と定めて、リハビリと練習をして何とか代表入りまでこぎつけた錦織だったが、試合にはエントリーされず、結局シングルスもダブルスもプレーをしなかった。

錦織は、リハビリが順調としながらも、試合をできるレベルにはまだ達していないと自ら語った。

「だいぶひじの方は治っているけど、体調面がまだマックスではない。自分の体がもうちょっと鍛えられて、自信がついてから臨もうとは思っている。でも、ひじの痛みもないですし、もうちょっとだと思います」

錦織を日本代表に選びながらも試合のエントリーを見送った理由を、デビスカップ日本代表の岩渕聡監督は次のように語る。そこには、8月に控える東京オリンピックに、錦織を出場させるための意図も含まれていた。

「彼(錦織)は、ずっとNTC(味の素ナショナルトレーニングセンター)にいて、何とかデビスカップを復帰戦にしてもらいたいと見ていました。チームとして、もちろん錦織には出てほしいという気持ちがずっとありましたので。彼も一生懸命調整をしてくれたんですけど、やっぱり、ちょっとこの時期までには間に合わなかった。シングルスがきつかったら、ダブルスの可能性も話していたんですけど、最初から(試合のエントリーに)名前を入れるところまでにはやはりまだ来ていない」

「ただ、錦織がチームにいることは、いろんな意味で選手にいい影響があります。ずっと何カ月もリハビリをしている彼(錦織)本人にとっても、間近で他の選手のプレーを見ることがいいことだと思う。もちろんオリンピックのことも少しありますし、総合的に見て彼をチームに入れた」

錦織の五輪出場のためにはワイルドカード獲得が必要

プロテニスプレーヤーが、オリンピックに出場するには、五輪までの4年間で原則として国の代表として3回プレーしなければならない。そのうちの出場1回は、直近の2年でなければならず、例えば、東京オリンピックの場合は、2019年と2020年に、国別対抗戦で最低1回プレーしなければならない。

だが、錦織は今回のエクアドル戦を含めても合計2回で、国際テニス連盟(ITF)の定める条件を満たすことはできない。

今後、日本テニス協会からITFへ、錦織を東京オリンピックへ出場させるためのワイルドカード(大会推薦枠)を申請することになり、錦織のデビスカップ・エクアドル戦の参加を、ワイルドカード獲得のためのプラス材料とする狙いがあると推察される。

錦織がプレーに加わらなかった日本(ITF国別ランキング17位)は、エクアドル(27位)にまさかの3連敗を喫して予選ラウンドを突破できず、11月にスペイン・マドリードで開催されるデビスカップ・ファイナルズへの出場を逃した。今後、日本は、予選ラウンドの残留をかけて、9月にワールドグループ1部の戦いに臨まなければならない。

錦織はデビスカップ終了後に渡米し、3月11日には自身のアプリで、マイケル・チャンコーチと軽いラリーをする動画をアップした。昨年末に、新しいツアーコーチとして指名したマックス・ミルニーとはまだ合流しておらず、本格的な練習はこれからというところだ。

「(復帰時期は)まだ目途はたっていないです。なるべく早く戻って来られたらいいなという感じですね。マイアミになるかもしれないし、(4月からの)クレーシーズンになるかもしれない。何とも言えない状況です」

こう語る錦織は、ATPマスターズ1000・マイアミ大会(3/25~4/5)をさしあたっての復帰目標にしていたが、新型コロナウィルスの影響で大会が中止となってしまった。

とにかく、復帰への焦りは禁物だ。30歳になった錦織が、もし今回の復帰に失敗すると、それは彼の選手生命の危機につながりかねない。慎重に復帰プランを進め、フルパワーでプレーをしても、右ひじに影響が出ない万全の状態でテニスコートに戻って来てもらいたい。