龍神NIPPONを牽引。柳田将洋は東京五輪でサプライズを起こせるか

日本男子バレーボールは東京五輪でサプライズを狙う。
日本男子バレーボールは東京五輪でサプライズを狙う。日本男子バレーボールは東京五輪でサプライズを狙う。

全日本男子「龍神NIPPON」は、開催国枠として東京五輪出場が決まっている。女子「火の鳥NIPPON」が2018年女子バレーボール世界選手権で6位と健闘、黒後愛、古賀紗理那といった若い世代が活躍する中、龍神NIPPONは第1次ラウンドで早々に敗退と、結果が出せずにいる。南部正司監督が2020年の主軸となりうる若手有望株4人を集めて結成した「NEXT4」の1人、柳田将洋は新主将としてチームをけん引することが期待されている。

春高バレー制覇も進路に悩み、慶應バレー部で意欲が再燃

柳田将洋は1992年7月6日、東京都江戸川区に生まれた。両親ともバレーボール経験者で、4つ年下の弟の貴洋も現在、中央大学でボレーボール部に所属している。将洋が競技を始めたキッカケは、母・英子の“ママさんバレー”を見学したことだった。小学校に入ると、小岩ジュニアバレーボールクラブに参加。5年生でエースとなり、全日本バレーボール小学生大会で小岩クラブを優勝に導いた。2005年に安田学園中学校に進学する。全日本中学校バレーボール選手権大会に出場したが、柳田が本当に存在感を放つようになるのは高校に進学してからだった。

2008年、柳田は東洋高等学校に進学し、バレーボール部に所属する。一年生ながら試合に出場し、エースとして攻撃を牽引。2009年、イタリアで開催された第11回世界ユース選手権大会のメンバーに選出された。試合結果は16チーム中14位だったが、柳田はベストスパイカー選ばれた。ただ、このとき柳田は世界との差を痛感したようだ。3年生で迎えた第41回全国高等学校バレーボール選抜大会(春高バレー)。主将としてチームを率いる柳田は、東洋高校を3年連続出場に導くと、前年のベスト8を上回り、チームに初優勝をもたらした。柳田の決勝でのアタック決定率は68.4パーセント。27得点を挙げてストレート勝ちに貢献した。

柳田は2011年、慶應義塾大学バレーボール部に入部する。大学時代の主な成績は、2012年の全日本バレーボール大学選手権大会(インカレ)準優勝のみだ。ただ、2013年には初めて全日本メンバー選ばれており、また、日本バレーボール協会が2014年6月、「Project CORE」を発表。その一環として、東京五輪に向けて集中的に強化する選手で構成された「Team CORE」を10人選出した。当時大学4年生の柳田もそのうちのひとりに選ばれる。バレーボールを続けるかどうかなど悩んでいた柳田にとって、慶應義塾大学での4年間は、バレーボールへの情熱を再燃させる場になったようだ。



石川祐希(右)らとともに
石川祐希(右)らとともに"Next4"の1人として期待されている柳田将洋(左)。石川祐希(右)らとともに"Next4"の1人として期待されている柳田将洋(左)。

全日本で成長し、Vリーグで最優秀新人賞を獲得

2014年8月、南部正司監督が率いる全日本はヨーロッパ・南米遠征を実施。柳田はこの遠征でウイングスパイカーとしての信頼を南部監督から獲得した。そして、9月中旬から10月上旬にかけて韓国の仁川で行われた第17回アジア競技大会にも出場。サーブの得意な柳田は、ピンチサーバーとして要所で活躍を見せ、銀メダル獲得に貢献する。同年10月、V・プレミアリーグのサントリーサンバーズ入団内定を発表。翌年3月、ファイナル6のパナソニックパンサーズ戦でデビューを果たす。全日本の南部監督は4月、日本男子バレーボール界の未来を担う「NEXT4」の1人に、柳田を指名する。ほかのメンバーは、石川祐希、高橋健太郎、山内晶大という大学生3人だった。

5月、山本健之監督率いるユニバーシアード代表として、東アジア地区男子選手権大会に参加。チームの優勝に貢献する。5月末より開催されるFIVBワールドリーグでは「龍神NIPPON」に選出され、6月7日のフランス代表戦で先発メンバーに起用される。続く韓国代表戦でも先発を飾るなど存在感を示したものの、全日本の成績は振るわず、最終順位は13位だった。

7月、ユニバーシアード代表として出場した第28回ユニバーシアード競技大会(韓国・光州)は6位。その直後にイランのテヘランで開催された第18回アジア男子選手権大会は、龍神NIPPONのメンバーとして参加。1次リーグ第2戦以降は先発に名を連ね、チームの優勝に貢献する。8月にはポーランドのトルニで開催された4カ国の総当たり戦、フベルト・ワグネル記念大会2015に出場。全試合で先発メンバーとなる。初戦のポーランド代表戦で敗れたものの、残り2試合に連勝して2位。南部監督の期待に応えた。

9月、日本で開催されたFIVBワールドカップに出場。柳田は10試合に先発したものの、レセプション(サーブレシーブ)が安定せず、龍神NIPPONも5勝6敗で6位に終わった。ただ、最終戦で世界ランキング2位のロシア代表と対戦。フルセットの末に敗れたものの、手ごたえをつかむ。

日本に戻って2015-16シーズン、柳田はサントリーサンバーズの一員として、V・プレミアリーグのレギュラーラウンドに立つ。レギュラーラウンド全試合に出場したものの、チームは7位に。V・チャレンジマッチ(入れ替え戦)の末、辛くもプレミアリーグに残留した。チーム成績は振るわなかったが、柳田だけは最優秀新人賞を獲得する。

18-19シーズンはポーランドに戦いの場を移す。
18-19シーズンはポーランドに戦いの場を移す。18-19シーズンはポーランドに戦いの場を移す。

さらなる成長を求めて海外移籍

順調なステップアップを見せる柳田だったが、さらなる成長を渇望するようになる。2016年5月、リオデジャネイロ五輪の最終予選に出場するもプレーに精彩を欠き、龍神NIPPONは2勝5敗で7位。オリンピック出場を逃した。2016-17シーズン、サントリーサンバーズは4位と躍進するが、柳田はプロとなり、海外に挑戦することを決断した。

野球やサッカー選手の海外挑戦はもはや珍しくない。会社員という安定した立場を捨ててプロとなり、ヨーロッパのリーグに挑戦するには、かなりの覚悟が必要だ。最終予選の試合に負けて、オリンピック出場を逃したことが、柳田の背中を強く押した。

2017年5月の第66回黒鷲旗全日本選抜大会を最後に、柳田はサントリーを退団して、ドイツ1部のTVインガーソル・ビュールと契約する。主将を任されるなど、チームの主力として活躍。そして、さらにレベルの高いリーグでプレーすることを選び、2018-19シーズンはポーランド1部のルビンに移籍した。

一方、龍神NIPPONは思うような結果を残せていない。2017年のワールドグランドチャンピオンズカップは5戦全敗という最悪の結果に終わった。柳田は2018年、全日本のキャプテンを託されることなった。しかし、ネーションズリーグは6勝9敗で12位。インドネシアで行われたアジア競技大会は5位。9月の2018年バレーボール世界選手権(世界バレー)も2勝3敗で第1次ラウンド敗退となった。

龍神NIPPONは開催国枠で東京五輪に出場する。しかし、今のままでは、オリンピックに参加しただけで終わってしまうだろう。開催国の意地を見せるためには、柳田ら若手の活躍が欠かせない。プロとなり、海外移籍という道を選んだ柳田の努力は報われるのか。答え合わせは1年半後に迫っている。

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