インタビュー:フィギュア世界王者ネイサン・チェン「オリンピックでの優勝を手にしたい」

グランプリシリーズ初戦のスケートアメリカ男子シングルで優勝を果たしたネイサン・チェン。いま世界で最も優れたスケーターのひとりである彼が、大会後に独占インタビューに応じてくれた。

スケートアメリカ男子シングルで優勝したネイサン・チェン
スケートアメリカ男子シングルで優勝したネイサン・チェンスケートアメリカ男子シングルで優勝したネイサン・チェン

Q:スケートアメリカ優勝おめでとうございます。

A:ありがとうございます。

Q:タイトルを独占し、いまやあなたは「4回転のキング」として知られています。このニックネームについてどう思いますか?

A:「4回転のキング」というのはティム・ゲーベルのものだと思います。技術的に彼がそのニックネームにふさわしいと。プログラムに4回転を取り入れているのは僕だけではありません。(ジン・)ボヤン、ショウマ(宇野昌磨)、ユズ(羽生結弦)、こうした素晴らしいスケーターたち全員のものです。

彼らが4回転ジャンプをプログラムに取り入れ始めたので、僕も同じことをしなければと思い、彼らもそう思った。そうして雪だるまのように大きな流れとなり、今のスケート界になっています。だから誰か「4回転のキング」がいるとすれば、それはティム・ゲーベルだと思いますし、僕らはみんな「4回転グループ」に入ります。

Q: あなたはこのスポーツにどんなインパクトを残したいと思っていますか?

A:いま競い合っているスケーターたちは、みな本当に競争力がありますが、それぞれのスケーターたちがどれだけの努力をこのスポーツに注ぎ込んできたかを僕は感じています。どれだけこのスポーツに身を捧げ、打ち込んできたか。そして、それを続けているか。

そのお互いに対するリスペクトのおかげで、僕らはみんなフレンドリーになれるんです。競技面においてという話ではないのです。僕らはお互いがどのようなやり方をしているとかいった違いを気にしています。僕がもう少し若い時には必ずしもそうではなかったですが、今はみんながより良い競技者に、より良いスポーツマンになろうと努力しているのを感じます。

こうした流れは本当に好ましいですし、この流れが続き、大きくなって、みんながそれを意識し続けることを僕は望んでいます…僕らはみんなその一員なんです。もちろん大会で勝つのは一人ですが、同時に誰もにそのチャンスがあります。勝てるかもしれないし、勝てないかもしれない。だけどそれは問題ありません。僕らの仕事はそういうものですから。

Q:アスリートとしてのスケートとアーティストとしてのスケート。あなたはフィギュアスケートの発展に対して、どのように取り組んでいますか?今後、このスポーツがどうなっていくと思いますか?

A:ジェーソン・ブラウンを表彰台で観ることができれば、それは素晴らしいと思いますね。彼は4回転を跳びませんが…彼は今大会4回転を跳びませんでしたが、彼が跳んでいるのは見たことがありますし、それができます。

テクニックだけではなく、様々なスケートが見られれば、それは素晴らしいですね。僕は幸運なことに自分の能力と素晴らしいコーチ、チームがあってジャンプを跳ぶことができています。ただ、まだジャンプを磨くことはできますし、細かいところを改善することはできます。

それとは別に、ジェーソン(・ブラウン)を、彼の持っている多くのものを手本にすることができます。テクニック以外にも手に入れられることはたくさんありますし、採点システムが多くのオプションを取り込めば、可能な限りそれらを高められるでしょう。

スケートアメリカで優勝を果たしたネイサン・チェン
スケートアメリカで優勝を果たしたネイサン・チェンスケートアメリカで優勝を果たしたネイサン・チェン

Q:あなたは4回転を成功させましたが、5回転についてどう思っていますか?

A:えーと…正直なところ、物理的にそれが可能なのかはわかりません。5回転を可能にするためには、テクニックを変化させる必要があります。つま先が離れ、最大限の回転スピード、そして人間の可能性を見る。誰かがそれを成し遂げたとき、僕は5回転を跳べるのだと知ることになるのでしょう。誰もやらなかったら、分かりません。

Q:時間が経つにつれ、成功するにつれ、あなたの認知度は高まっていますが、プレッシャーとはどのように向き合っていますか?

A:スケートは僕にとっては多くの意味を持っていて、スケートで僕が何をするかはとても大事なんです。

しかし、もし非常にプレッシャーのかかる状況に対して何か対策することができれば…例えば大会がそれほど重要ではないかのように考える、「OK、今日は普通の一日だ」という風にその日に向かうことができれば、よかろうが悪かろうがということをやっている…結局のところはそれなしでもやっていけると。それが僕の大会やプレッシャーの掛かる状況に対するアプローチです。

もちろんオリンピックでの結果には興奮しませんでした。でも、「OK。ミスはしても大丈夫。これまでも大きな舞台でミスをしてきた。もしミスをし続けても前に進もう。改善しようとし続ける限り大丈夫」と。そして、それこそが僕を大会中に理性的でいさせてくれたマインドセットなんです。

こうしたメンタルのおかげで、僕のスケートはよくなっています。ミスに対して寛容になれば、失敗に対して寛容になります。どこかに改善点があると。練習でもそういうマインドを持っていることが、多くの助けになります。これこそが、僕がここ数年でよくなってきた部分の一つです。

Q:まだ若いですが、多くのことを成し遂げてきました。今シーズンの目標は何ですか?北京五輪もその一つですか?

A:今はスケートアメリカでやったことを継続しようとしています。僕は大会ごとに1つずつアプローチするのが好きです。もし五輪など、遠くを見始めれば、少しプレシャーを感じてしまいます。

僕は他のスケーターやアスリートと全く同じで、オリンピックチャンピオンというのは夢なんです。アスリートのほとんどが欲しているもの。もちろん僕もそれを手にしたい。僕にとっては一方で現実的であり、一方でファンタジーなんですよ。

そこに到達するためにまだ正しいステップを踏んでいく必要がありますが、結局のところ僕がチャンピオンになれるかどうかには、コントロールできない多くの要素が関係してきます。だから、僕がそのポジションに就くまでは、目の前のことに集中したいです。ただ、全力を尽くして僕がオリンピックに出場できれば、結果にかかわらず満足するでしょう。

Q:忙しい中ありがとうございました。今シーズンの健闘を祈っています。

A:ありがとうございました。

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