"箱根から世界へ"...五輪内定の中村、服部ら大学駅伝出身のマラソンランナーを徹底紹介

2019年度の大学駅伝シーズンがいよいよ開幕する。9月15日に開催されたマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)の出場ランナー(男子)は、五輪内定を勝ち取った中村匠吾、服部勇馬、3位の大迫傑、序盤に大きなリードを奪った設楽悠太などほとんどが大学駅伝経験者だった。再び世界挑もうとしている日本男子マラソンでは、いま「箱根から世界へ」がキーワードとなっている。

世界陸上ドーハ2019代表の二岡康平も大学駅伝を経験している
世界陸上ドーハ2019代表の二岡康平も大学駅伝を経験している世界陸上ドーハ2019代表の二岡康平も大学駅伝を経験している

10月14日「体育の日」に行われる第31回出雲全日本大学選抜駅伝競走(出雲駅伝)を皮切りに、11月3日の秩父宮賜杯 第51回全日本大学駅伝対校選手権大会(全日本大学駅伝)、2019年1月2・3日の第96回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)と、大学三大駅伝が開催される。「箱根駅伝」は10月26日に予選会を実施。前回大会でシード権(上位10校)を得られなかった大学は、予選会で上位10位内に入ることで、本戦の出場権を得られる。

MGC優勝の中村匠吾も大学駅伝で活躍した実績を持つ
MGC優勝の中村匠吾も大学駅伝で活躍した実績を持つMGC優勝の中村匠吾も大学駅伝で活躍した実績を持つ

■MGC優勝:中村匠吾の大学駅伝における実績

MGC(マラソングランドチャンピオンシップ 兼 東京2020 オリンピック日本代表選考競技会 兼 第103回日本陸上競技選手権大会)で優勝、Tokyo 2020(東京五輪)のマラソン日本代表に内定した中村匠吾(富士通)も、大学駅伝経験者だ。

中村は1992年9月16日生まれの27歳。三重県出身で、2011年4月に駒澤大学へ進学する。2013年にカザン(ロシア)で開催された第27回夏季ユニバーシアードにて、ハーフマラソンの銅メダルを獲得したことで知られているものの、大学三大駅伝にも出場している。

駒澤大学

出雲駅伝(6区間)

  • 第23回(2011年10月)-/2位(優勝は東洋大学)
  • 第24回(2012年10月)-/5位(優勝は青山学院大学)
  • 第25回(2013年10月)1区1位/優勝
  • 第26回(2014年10月)-/天候の急変により中止

全日本大学駅伝(8区間)

  • 第43回(2011年11月)6区3位/優勝
  • 第44回(2012年11月)-/優勝
  • 第45回(2013年11月)1区1位/優勝
  • 第46回(2014年11月)4区1位/優勝

箱根駅伝(10区間)

  • 第88回(2012年1月)-/2位(優勝は東洋大学)
  • 第89回(2013年1月)3区3位/3位(優勝は日本体育大学)
  • 第90回(2014年1月)1区2位/2位(優勝は東洋大学)
  • 第91回(2015年1月)1区1位/2位(優勝は青山学院大学)

駒澤大学出身のMGCファイナリストは中村以外にも、大塚祥平(九電工)と二岡康平(中電工 ※MGCは出場辞退)がいる。中村が大学4年生の時、大塚は2年生で、ともに箱根駅伝を走っている。この時、二岡は1年生という関係だ。

1年時から活躍を期待されていた服部勇馬
1年時から活躍を期待されていた服部勇馬1年時から活躍を期待されていた服部勇馬

■MGC2位:服部勇馬の大学駅伝における実績

MGCで2位となり、Tokyo 2020(東京五輪)のマラソン日本代表に内定した服部勇馬(トヨタ自動車)も、大学駅伝経験者だ。服部は1993年11月13日生まれの25歳。新潟県出身で、2012年4月に東洋大学へ進学する。

東洋大学

出雲駅伝(6区間)

  • 第24回(2012年10月)3区2位/2位(優勝は青山学院大学)
  • 第25回(2013年10月)5区1位/2位(優勝は駒澤大学)
  • 第26回(2014年10月)-/天候の急変により中止
  • 第27回(2015年10月)2区3位/4位(優勝は青山学院大学)

全日本大学駅伝(8区間)

  • 第44回(2012年11月)8区6位/2位(優勝は駒澤大学)
  • 第45回(2013年11月)2区4位/2位(優勝は駒澤大学)
  • 第46回(2014年11月)2区1位/4位(優勝は駒澤大学)
  • 第47回(2015年11月)1区1位/優勝

箱根駅伝(10区間)

  • 第89回(2013年1月)9区3位/2位(優勝は日本体育大学)
  • 第90回(2014年1月)2区3位/優勝
  • 第91回(2015年1月)2区1位/3位(優勝は青山学院大学)
  • 第92回(2016年1月)2区1位/2位(優勝は青山学院大学)

東洋大学はMGCファイナリストに、山本浩之(コニカミノルタ)、山本憲二(マツダ)、設楽悠太(Honda)、髙久龍(ヤクルト)、服部と、出身大学別で最多の5人を輩出している。服部が大学1年生の時に、髙久が2年生、設楽が3年生。第89回と第90回の箱根駅伝など、3人が同じタスキをつないだレースもある。

早稲田大学時代の大迫傑
早稲田大学時代の大迫傑早稲田大学時代の大迫傑

■MGC3位:大迫傑の大学駅伝における実績

MGCでは3位に終わり内定とはならなかったものの、日本記録保有者である大迫傑も大学駅伝の出身者である。箱根の1区では2度区間賞を受賞するなど、その実力の片りんを見せていた。

早稲田大学

出雲駅伝(6区間)

  • 第22回(2010年10月)2区3位
  • 第23回(2011年10月)1区3位
  • 第24回(2012年10月)1区10位
  • 第25回(2013年10月)6区3位

全日本大学駅伝(8区間)

  • 第42回(2010年11月)2区3位
  • 第43回(2011年11月) 2区2位
  • 第44回(2012年11月)2区2位
  • 第45回(2013年11月)2区区間賞

箱根駅伝(10区間)

  • 第87回(2011年1月)1区区間賞
  • 第88回(2012年1月)1区区間賞
  • 第89回(2013年1月)3区2位
  • 第90回(2014年1月)1区5位
MGCでは序盤に
MGCでは序盤に"大逃げ"をみせたMGCでは序盤に"大逃げ"をみせた

■MGC14位:設楽悠太の大学駅伝における実績

序盤の大逃げも実らず、MGCでは14位に終わった設楽悠太。2018年の東京マラソンでは当時の日本記録を更新するなど、日本を代表するランナーであることに疑いの余地はない。

東洋大学

出雲駅伝(6区間)

  • 第22回(2010年10月)2区2位
  • 第23回(2011年10月)3区区間賞
  • 第24回(2012年10月)4区2位
  • 第25回(2013年10月)3区3位

全日本大学駅伝(8区間)

  • 第42回(2010年11月)5区2位
  • 第43回(2011年11月 )2区8位
  • 第44回(2012年11月)4区3位
  • 第45回(2013年11月)1区2位

箱根駅伝(10区間)

  • 第87回(2011年1月)3区8位
  • 第88回(2012年1月)7区区間賞
  • 第89回(2013年1月)3区区間賞
  • 第90回(2014年1月)3区区間賞

■過去の大学駅伝出身の五輪マラソン出場ランナー

2000年シドニー五輪

  • 川嶋伸次(日本体育大学)21位
  • 佐藤信之(中央大学)41位

2004年アテネ五輪

  • 諏訪利成(東海大学)6位

2008年北京五輪

  • 尾方 剛(山梨学院大学)13位
  • 佐藤敦之(早稲田大学)76位
  • 大崎悟史(山梨学院大学)欠場

2012年ロンドン五輪

  • 中本 健太郎(拓殖大学)6位
  • 山本 亮(中央大学)40位
  • 藤原 新(拓殖大学)45位

2016年リオデジャネイロ五輪

  • 佐々木 悟(大東文化大学)16位
  • 石川末広(東洋大学)36位
  • 北島寿典(東洋大学)94位

ここに挙げたのは2000年以降のオリンピックの日本代表マラソンランナーだが、1920年のアントワープ五輪以降、数多くのランナーを輩出。1984年ロサンゼルス五輪および1988年ソウル五輪の瀬古利彦(早稲田大学)、1992年バルセロナ五輪と1996年アトランタ五輪の谷口浩美(日本体育大学)なども、大学駅伝経験者として知られている。

■3つ目の枠を巡る戦い

東京五輪のマラソン日本代表は3枠。そのうち2枠は、MGCにより決定した。残り1枠は、MGCファイナルチャレンジの結果で選考される。この選考に際し、日本陸上競技連盟(JAAF)は以下の条件を示した。

派遣設定記録を上回り、最も速いタイムを出した選手1人が代表に内定

派遣設定記録(2019年5月決定)

  • 男子 2時間05分49秒
  • 女子 2時間22分22秒

派遣設定記録を突破した選手がいない場合は、MGCで3位となった選手に内定が与えられる。ここで注目すべきは、男子の「2時間05分49秒」だ。現在の日本記録は、大迫傑(Nike)の2時間05分50秒。つまり日本記録の更新が条件ということで、これはかなり高いハードルだ。このため現時点ではMGCで3位だった選手、現日本記録保持者の大迫が、有力な候補と言える。そして大迫も、大学駅伝の経験者だ。

大迫は1991年5月23日生まれの28歳。東京都出身で、2010年4月に早稲田大学へ進学する。大迫が3年生の時に、東京五輪内定の中村は駒沢大2年生で、服部は東洋大1年生という関係だ。大迫が3年時の第89回箱根駅伝では、大迫と中村が同じ3区を走り、大迫が区間2位で、中村は同3位。この時に3区の区間賞を取ったのが、東洋大3年の設楽悠太だった。

設楽は大迫が日本記録を更新する前の「前日本記録保持者」。その記録は2時間06分11秒で、記録を出したレースは、2018年2月の東京マラソンだった。2020年3月1日に開催される東京マラソンは、MGCファイナルチャレンジ対象レースの1つ。派遣設定記録を上回り、マラソン日本代表の3枠目を獲得するランナーが現れるとしたら、設楽はその最有力候補と言える。

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